DNA鑑定とコンピューターテクノロジーの関連性についてご説明

2016.09.13

リライティング日:2024年07月07日

1985年のRFLP法によるDNA型鑑定の誕生からSTR法、次世代シーケンサーまで、DNA鑑定技術の進化をWindowsの歴史と対比しながら解説。seeDNAが最先端技術で正確な鑑定を提供する理由を紹介します。

1985年:RFLP法によるDNA型鑑定の誕生とWindows時代の幕開け

985年:RFLP法によるDNA型鑑定の誕生とWindows時代の幕開け1985年は、科学技術とIT技術の両面において歴史的な転換点となった年です。この年、RFLP(Restriction Fragment Length Polymorphism:制限酵素断片長多型)によるDNA型鑑定が初めて公式に発表されました(1)。RFLP法とは、DNAを特定の制限酵素で切断し、その断片の長さの違い(多型)を比較することで個人を識別する手法です。英国レスター大学のアレック・ジェフリーズ博士がこの技術を開発し、法医学や親子鑑定の世界に革命をもたらしました。

奇しくも同じ1985年、マイクロソフト社はWindowsの初バージョンといくつかの基本ソフトウェアを世に送り出しました。当時のWindowsはMS-DOS上で動作するグラフィカルシェルに過ぎませんでしたが、この一歩が後のコンピューター革命の礎となりました。DNA鑑定技術とコンピューター技術は、まさに同じ時代に産声を上げ、互いに影響し合いながら発展を遂げてきたのです。

翌1986年には、セルマーク社(Cellmark Diagnostics)とライフコード社(Lifecodes Corporation)がマルチローカスRFLPを使用したDNA型鑑定を商業ベースで公式に開始しました。マルチローカスRFLPは、ゲノム上の複数の領域を同時に解析することで個人識別の精度を高める手法であり、犯罪捜査や親子鑑定において実用的なツールとして急速に広まっていきました。同時期にマイクロソフト社が株式上場を果たしたことも、技術革新が社会にもたらすインパクトの大きさを象徴しています。

しかし1990年代初頭になると、RFLP法は司法界で厳しい目にさらされるようになります。集団遺伝学的な統計手法の妥当性や、鑑定研究所で得られた結果の品質管理について疑問が呈されたのです。鑑定結果の信頼性を担保するためのバリデーション(妥当性確認)やプロフィシェンシーテスト(技能試験)の必要性が強く認識されるようになりました。

STR法の登場とDNA鑑定技術の飛躍的進化

STR法の登場とDNA鑑定技術の飛躍的進化同時期、マイクロソフト社もWindows 3.0の基本ソフトで品質問題を抱えていました。しかし両者ともこの危機を見事に乗り越えます。マイクロソフト社は1991年にWindows 3.1を出荷して安定性を大幅に改善しました。一方DNA型鑑定技術の分野では、従来のRFLP法に代わる改良された手法として蛍光STR(Short Tandem Repeat)マーカーとChelex抽出法が導入されました。

STR法とは、DNA上に存在する短い塩基配列の繰り返し(反復配列)の回数の違いを利用して個人を識別する手法です。RFLP法と比較して、STR法には以下のような優位性があります。

  • 必要なDNA量が極めて少量で済むため、微量検体や劣化した検体からも鑑定が可能
  • PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)によりDNAを増幅できるため、感度が飛躍的に向上
  • 蛍光標識を用いることで複数のSTR領域を同時に解析(マルチプレックス)でき、処理速度が大幅に改善
  • デジタルデータとして結果が得られるため、データベース化や機関間の比較が容易
  • RFLP法に比べて解析にかかる時間が数日から数時間に短縮

1995年は、DNA鑑定の歴史においても特筆すべき年となりました。マイクロソフト社がWindows 95の出荷により爆発的な人気を獲得する一方、DNA型鑑定はO.J.シンプソン事件の裁判で世界中の注目を集めました。この事件をきっかけに、DNA鑑定という技術が一般市民にも広く知られるようになり、法科学(フォレンジック・サイエンス)に対する社会的関心が急速に高まりました。

その後、英国では犯罪捜査ツールとして国家DNAデータベース(National DNA Database:NDNAD)が1995年に世界で初めて立ち上げられ、米国ではCombined DNA Index System(CODIS)というFBI主導の国家的なDNAデータベースシステムが1998年に本格運用を開始しました。これらのデータベースの構築はWindows 98の出荷とほぼ同時期であり、コンピューター技術の発展がDNA情報の大規模管理を可能にした好例といえます。

サンプルの処理能力と処理速度をさらに向上させるため、FBI研究所をはじめとする多くの鑑定研究所では、事件捜査におけるRFLP法の使用を2000年の時点で完全に中止しました。STR法への全面的な移行が完了し、DNA鑑定は新たなステージへと突入したのです。

2000年代:マルチプレックス技術の進化とDNA鑑定の高度化

2000年1月13日、ビル・ゲイツはマイクロソフト社が新しい方向に進むために同社のCEO(最高経営責任者)を辞任しました。21世紀初頭にWindows 2000とWindows XPが開発され、コンピューターの性能が着実に向上し続けてきたのと同時に、DNA型鑑定の世界でもヒトゲノムの16か所の領域を調べるシングル増幅反応の新しいDNA型鑑定キットが開発されました。これにより、DNA情報の多重鑑定(マルチプレックス)能力が飛躍的に高まり、より少ない検体量からより多くの情報を一度の反応で得ることが可能になりました。

DNA鑑定技術とコンピューター技術の進化を時系列で振り返ると、両者が常に歩調を合わせて発展してきたことが分かります。

  1. 1985年:RFLP法によるDNA型鑑定の公式発表 & Windows 1.0の出荷
  2. 1986年:商業DNA鑑定サービスの開始 & マイクロソフト社の株式上場
  3. 1991年:蛍光STR法とChelex抽出法の導入 & Windows 3.1の出荷
  4. 1995年:O.J.シンプソン事件でDNA鑑定が世界的に注目 & Windows 95の出荷
  5. 1998年:英米で国家DNAデータベースの本格運用 & Windows 98の出荷
  6. 2000年代:マルチプレックスDNA鑑定キットの進化 & Windows 2000/XPの開発
  7. 現在:次世代シーケンサーと量子コンピューターの時代へ

次世代シーケンサーと量子コンピューター:seeDNAが見据えるDNA鑑定の未来

次世代シーケンサーと量子コンピューター:seeDNAが見据えるDNA鑑定の未来現在、seeDNA遺伝医療研究所では最新の分析機器と解析ソフトウェアを用いてDNA解析を行っています。その中でも特に注目すべきは次世代シーケンサー(NGS:Next Generation Sequencer)の活用です。次世代シーケンサーは、わずか30年前には全世界の研究者が参加するヒトゲノム計画(Human Genome Project)において10年以上の歳月を要した全ゲノム解読作業を、わずか1日で完了させてしまう驚異的なシステムです。今日のようなコンピューターテクノロジーが存在しなかった時代には、このような高速・大量解析は想像すらできなかったでしょう。

次世代シーケンサーの登場により、DNA鑑定は従来のSTR解析にとどまらず、SNP(一塩基多型)解析やミトコンドリアDNA解析、さらにはエピジェネティクス情報の解析まで、より幅広い領域をカバーできるようになりました。これにより親子鑑定の精度はさらに向上し、従来困難であった複雑な血縁関係の判定も高い確度で実施できるようになっています。

さらにコンピューターテクノロジーは新たな進化の段階に入りつつあります。現在のスーパーコンピューターを遥かに凌駕する計算能力を持つ量子コンピューターの実用化が近づいており、これがDNA解析の世界にもたらすインパクトは計り知れません。量子コンピューターが本格的に稼働すれば、ゲノムデータのパターンマッチングや統計解析が桁違いのスピードで処理できるようになり、DNA鑑定の精度と速度はさらなる次元へ到達することが期待されます。

私たちseeDNA遺伝医療研究所は、DNA鑑定技術が誕生した1985年以来の長い歴史を礎に、常に最新のコンピューターテクノロジーと分析技術に目を向けてまいりました。最先端の技術による正確な鑑定をお届けするべく、日々研鑽を重ねております。一生の悩みを解決できる大切なDNA型鑑定は、確かな技術と実績を持つ私たちseeDNAにお任せください。

よくあるご質問

Q1. RFLP法とSTR法の違いは何ですか?

A. RFLP法はDNAを制限酵素で切断してその断片長の違いで個人を識別する手法で、大量のDNAサンプルが必要であり解析に数週間かかりました。一方STR法はPCRによりDNAを増幅して短い反復配列の繰り返し回数を比較する手法で、微量検体でも鑑定が可能で解析時間も数時間に短縮されています。現在のDNA鑑定ではSTR法が主流となっています。

Q2. 次世代シーケンサー(NGS)を使ったDNA鑑定のメリットは何ですか?

A. 次世代シーケンサーは一度の解析で膨大な量のDNA情報を読み取ることができるため、従来のSTR解析に加えてSNP解析やミトコンドリアDNA解析など複数の解析を同時に実施できます。これにより親子鑑定の精度が飛躍的に向上し、複雑な血縁関係の判定も高い確度で行えるようになっています。

Q3. DNA鑑定技術はなぜコンピューター技術の発展と関係が深いのですか?

A. DNA鑑定では膨大な遺伝情報を正確かつ迅速に処理する必要があり、その解析にはコンピューターの計算能力が不可欠です。1985年のRFLP法発表以降、コンピューター性能の向上に合わせてDNA鑑定技術も進化を遂げてきました。次世代シーケンサーが1日で全ゲノムを解読できるのも、高性能なコンピューター技術があってこそ実現しています。

seeDNA遺伝医療研究所の安心サポート

seeDNA遺伝医療研究所は、国際品質規格ISO9001とプライバシー保護のPマークを取得している安心と信頼のDNA鑑定・遺伝子検査の専門機関です。
家族や親子の血縁関係、パートナーの浮気などにお悩みでしたら、DNA鑑定の専門家が、しっかりとご安心いただけるようサポートいたしますのでお気軽にお問合せください。

【専門スタッフによる無料相談】

seeDNA遺伝医療研究所のお客様サポート

ご不明点などございましたら
弊社フリーダイヤルへお気軽にご連絡ください。


\土日も休まず営業中/
営業時間:月~日 9:00-18:00
(祝日を除く)

医学博士 富金 起範著者

医学博士 富金 起範

筑波大学、生体統御・分子情報医学修士/博士課程卒業
2017年に国内初となる微量DNA解析技術(特許7121440)を用いた出生前DNA鑑定(特許7331325)を開発

【参考文献】

(1) Nature Reviews Genetics「DNA fingerprinting: an introduction」、2004年
電話で無料相談0120-919-097 メール・お問い合わせ
各検査の費用と期間 メール/Webからお問い合わせ