リライティング日:2024年12月19日
輸血や骨髄移植の経験がある方がDNA鑑定を受ける場合、血液中に他人のDNAが混在し正確な結果が得られないリスクがあります。検体選択や提出時期の注意点を詳しく解説します。
自分の体から他人のDNAが検出されることはあるのか?輸血歴とDNA鑑定の関係
「自分の体から他人のDNAが検出される」と聞くと、多くの方は驚かれるかもしれません。通常であれば、私たちの体内に存在するDNAはすべて自分自身のものです。しかし、輸血歴のある方にとっては、これは決してあり得ない話ではありません。輸血とは、他者の血液を自分の体内に取り入れる医療行為であり、提供された血液の中には当然ながら提供者(ドナー)の白血球やその他の有核細胞が含まれています。これらの細胞にはドナーのDNAが含まれているため、輸血直後の血液からDNAを抽出すると、被検者ご自身のDNAとドナーのDNAが混在した状態で検出されることになります。
DNA鑑定では、特定の遺伝子座(STRマーカー)を解析して個人を識別します。通常、一つの遺伝子座には最大2つのアレル(対立遺伝子)が検出されますが、他人のDNAが混在している場合には3つ以上のアレルが検出されてしまいます。こうなると、どのアレルが被検者本人のものか判別できなくなり、正確な鑑定結果を得ることが極めて困難になります。親子鑑定であれば親子関係の判定に誤りが生じる可能性があり、法医学的な鑑定であれば個人の同定そのものが不可能になるケースもあります。
輸血を受けた場合、DNA鑑定の結果に直接的な影響が出るのは、基本的に血液を検体としてご提出いただく場合です。血液中に被検者ご自身とドナーのDNAが混在しているため、正確な鑑定結果をお出しすることができません。しかし、口腔上皮(頬の内側の粘膜細胞)など、血液以外の検体をご提出いただく場合であっても注意が必要です。口腔内の粘膜に微小な傷がある場合や、歯茎からの出血がある場合には、検体に血液が付着している可能性を完全には排除できません。
そのため、seeDNAでは輸血を受けられてから半年以上経過した後に検体をご提出いただくことをお願いしております。輸血から十分な時間が経過すれば、体内に残存するドナー由来の血液細胞は自然に代謝・分解され、被検者本人の造血機能によって置き換わっていきます。赤血球の寿命は約120日、白血球は種類によって数時間から数日程度と言われており、半年を経過すればドナー由来の細胞がほぼ消失すると考えられています(1)。
骨髄移植歴がある場合のDNA鑑定への深刻な影響
輸血以上に大きな影響を及ぼすのが骨髄移植です。骨髄移植は白血病や再生不良性貧血などの重篤な血液疾患に対する治療法であり、患者の造血幹細胞をドナーのものに置き換える治療です。つまり、移植が成功すると、患者の体内で新たに作られる血液細胞はすべてドナー由来のDNAを持つことになります。
アメリカのネバダ州にあるワシュー郡犯罪研究所が行った注目すべき研究があります。この研究によると、骨髄移植からわずか数ヶ月で、血液から得られるDNAはドナーのものに完全に置き換わりました。さらに驚くべきことに、移植から4年後には、頬の粘膜や唇から採取されたDNA、そして精液から得られたDNAまでもがドナーのものとなっていたことが報告されています。
ただし、この研究の被験者は骨髄移植後にパイプカット(精管切除術)を受けており、精液中に精子が存在しなかったという特殊な事情がありました。精子にはそれぞれ固有のDNAが含まれていますが、精液そのものを構成する前立腺液や精嚢液などの成分に含まれる細胞のDNAがドナー由来に置き換わっていた可能性があります。精子が存在していれば、精子のDNAは被検者本人のものが検出された可能性も考えられますが、いずれにしてもドナーのDNAとの混在が起こる危険性は極めて高いと言えます。
この研究結果は、骨髄移植を受けた方がDNA鑑定を受ける場合、使用する検体の種類によっては正確な結果が得られない可能性が非常に高いことを明確に示しています。特に血液は検体として使用できないケースがほとんどであり、口腔粘膜であっても慎重な対応が求められます。
輸血と骨髄移植がDNA鑑定に及ぼす影響の違い
輸血と骨髄移植では、DNA鑑定への影響の度合いが大きく異なります。以下にその違いをまとめます。
- 輸血の場合:ドナーの血液細胞は一時的に体内に存在するのみで、時間の経過とともに自然に排出・分解されるため、半年以上経過すれば影響はほぼなくなります。
- 骨髄移植の場合:造血幹細胞そのものがドナー由来に置き換わるため、新たに産生される血液細胞は永続的にドナーのDNAを持ちます。影響は半永久的に続きます。
- 影響を受ける検体の範囲:輸血は主に血液検体のみに影響しますが、骨髄移植は血液だけでなく口腔粘膜や精液など広範囲の検体に影響が及ぶ可能性があります。
- 鑑定の可否:輸血の場合は時間をおけば口腔粘膜等で鑑定可能ですが、骨髄移植の場合は使用可能な検体が極めて限定される場合があります。
正確なDNA鑑定結果を得るために必要な手順と事前相談の重要性
輸血や骨髄移植の経験がある方が正確なDNA鑑定結果を得るためには、適切な手順を踏むことが不可欠です。以下の流れに沿ってお手続きいただくことを強くお勧めいたします。
- 事前相談:まずはseeDNAまでお電話またはメールにてご連絡ください。輸血・骨髄移植の時期や回数、治療内容について詳しくお伺いします。
- 最適な検体の選定:お伝えいただいた情報をもとに、最も正確な結果が得られる検体の種類(口腔粘膜、毛髪、爪など)を専門スタッフがご提案いたします。
- 適切な採取時期の決定:輸血の場合は最低半年以上の経過期間を設け、骨髄移植の場合はさらに慎重に採取時期を検討いたします。
- 検体の正確な採取と提出:ご案内する手順に従い、正しい方法で検体を採取・ご提出いただきます。口腔内からの採取の場合は、出血がないことを確認してから行います。
- 鑑定の実施と結果のご報告:ラボにて厳密な品質管理のもとDNA解析を行い、正確な鑑定結果をご報告いたします。
鑑定をお考えの方へ——お客様の情報が正確な結果の鍵を握ります
DNA鑑定は、個人を識別する上で最も信頼性の高い手法の一つです。しかし、輸血や骨髄移植といった医療行為の履歴は、鑑定結果の正確性に直接的な影響を与える要因となります。正確な鑑定結果をご報告するためには、お客様の医療履歴に関する情報が非常に重要になります。
もし輸血歴や骨髄移植歴がある方がDNA鑑定を受けられる場合は、必ず事前にご相談ください。お客様の状況に応じて、最適な検体の種類や採取時期をご提案し、正確な鑑定結果をお届けできるよう全力でサポートいたします。些細なことでも構いませんので、不安な点やご不明な点がございましたら、お気軽にseeDNA遺伝医療研究所までお問い合わせください。
なお、輸血歴や骨髄移植歴は、親子鑑定だけでなく、個人識別鑑定やその他のDNA鑑定全般に影響を及ぼします。どのような種類の鑑定をご検討されている場合でも、該当する医療履歴がある方は必ず事前にお知らせいただけますようお願いいたします。
よくあるご質問
Q1. 輸血を受けた後、どのくらい期間を空ければDNA鑑定を受けられますか?
A. 輸血を受けられてから最低半年以上の経過をお願いしております。半年以上経過すれば、ドナー由来の血液細胞は体内でほぼ消失するため、口腔粘膜などの検体を使用して正確な鑑定結果を得ることが可能です。ただし、血液検体は輸血後しばらくの間はドナーのDNAが混在するリスクがあるため、口腔粘膜等の血液以外の検体のご提出をお勧めしています。
Q2. 骨髄移植を受けた場合、DNA鑑定は完全に不可能になりますか?
A. 完全に不可能というわけではありませんが、使用できる検体が大きく制限されます。骨髄移植後は血液のDNAがドナーのものに置き換わるため、血液を検体として使用することはできません。毛髪や爪など、造血系の影響を受けにくい組織を検体として使用できる場合がありますので、必ず事前にご相談ください。
Q3. 輸血歴や骨髄移植歴があることを申告しなかった場合、どうなりますか?
A. 申告されなかった場合、鑑定結果に他人のDNAが混在し、正確な判定ができなくなる恐れがあります。具体的には、通常検出されないはずの余分なアレルが現れたり、鑑定不能と判定されたりする可能性があります。正確な結果をお届けするために、輸血歴や骨髄移植歴は必ず事前にお知らせください。
seeDNA遺伝医療研究所の安心サポート
seeDNA遺伝医療研究所は、国際品質規格ISO9001とプライバシー保護のPマークを取得している安心と信頼のDNA鑑定・遺伝子検査の専門機関です。
家族や親子の血縁関係、パートナーの浮気などにお悩みでしたら、DNA鑑定の専門家が、しっかりとご安心いただけるようサポートいたしますのでお気軽にお問合せください。
【専門スタッフによる無料相談】

著者
医学博士 富金 起範
筑波大学、生体統御・分子情報医学修士/博士課程卒業
2017年に国内初となる微量DNA解析技術(特許7121440)を用いた出生前DNA鑑定(特許7331325)を開発




皆様は食事の際、栄養バランスや量を気にしていますか?私は何も考えず、食べたいものを好きなだけ食べていますが、そろそろ健康的な食事に変えた方がいいのかな、と思います。ですが、あまり食べない方がいいものや、いつ何を食べるべきかなど、調べてみても情報があふれていて混乱してしまいます。
イギリス国内の店舗かインターネットでDNA採取キットを購入し、綿棒で口腔上皮を採取し、専用のカートリッジに入れます。そしてそのカートリッジをDNA抽出・分析用のボックスに入れると、ボックスに取り付けられたカプセルにDNA情報がロードされます。ロードされた情報は、スマホアプリとリストバンドに共有されます。その後、買い物に出かけた際にスマホまたはリストバンドで商品のバーコードを読み取ると、その商品が自身の身体にとって最適な食品かどうかが色によって表示されます。
この製品は、栄養に関連した健康状態に関するSNP(Single Nucleotide Polymorphism;一塩基多型)を調べており、一般的に必要とされる栄養素を単に提案するのではなく、各個人が必要な栄養素を含む食品を判別します。また、バーコードを読み取るタイミングによっては、同じ商品でも最適かどうかの判断が変わります。例えば、クッキーを買おうとしてバーコードを読み取る場合、日中には「最適」と判断されたものが、夜中には「適さない」と判断されることがあります。
このように個人個人に適した食品を提示してもらえると、多くの食品を前にして悩まなくていいので買い物の時間も短縮されますし、より健康的な生活を送れることが期待できます。もっとも、この製品が示すのはあなたにとって最適な食品ではありますが、絶対に従わないといけないものではないことを念頭に置いた方が精神衛生上はいいかもしれません。いつか日本でも使えるようになったらいいなと思います。
ちなみに、この製品で調べているSNPは健康状態に関する部分ですが、弊社の出生前鑑定では、個人識別をするのに有効な部分を解析しています。SNPにはこれらの他に、かかりやすい病気がわかる部分やアレルギーの有無がわかる部分などがあり、今後もSNP解析を利用した様々なビジネスが出てくると思います。
そこで、アメリカのBioPet Laboratories社が、犬のフンをDNA検査して飼い主を特定するサービス「PooPrints (フンの痕跡)」を提供し、話題となっているようです。

皆様は、旅行はお好きですか? 私は旅行が好きで、よく海外に行くのですが、だんだんと目的地が同じような場所になり、少し物足りなさを感じるようになってきました。観光名所やリゾート地をめぐるだけの旅行に飽きてしまった方は、決して少なくないのではないでしょうか。
Airbnbのヘリテージ旅行サービスでは、23andMeでDNA型鑑定を行った結果をもとに、自分の祖先の故郷への旅行プランやアクティビティが提案される仕組みとなっています。たとえば、DNA鑑定の結果から「あなたのルーツの32%はアイルランドにあります」と判明した場合、アイルランドの地元の人が案内する文化体験プログラムや、伝統的な食事を楽しめる宿泊先が自動的にレコメンドされます。
Airbnbと23andMeのサービスが日本から直接利用しにくい一方で、他にも祖先解析を提供している遺伝子検査会社は複数存在します。AncestryDNAは、Airbnbに先立ち、Go Ahead Toursと提携してヘリテージ旅行の提供を開始しています。AncestryDNAは世界最大規模のDNAデータベースを有しており、家系図サービスとの連携により、遺伝子情報だけでなく歴史的な記録とも照合できるのが強みです。
父子鑑定・出生前親子鑑定などのDNAを用いる鑑定では、「DNAマーカー」であるSTR(Short Tandem Repeat : 縦列型反復配列)やSNP(Single Nucleotide Polymorphism : 一塩基多型)を用いることがほとんどです。
「DNAマーカー」とは個体間の差異を調べることができる領域(特定のDNA配列)を示します。
DNAプロファイリングとは、プロファイルと呼ばれる特異的なDNAパターンを個人の検体から解析するプロセスです。
多くの方は、DNAプロファイリングは事件や震災、裁判など公的な場面で使用されるという認識しているようです。
親子DNA鑑定を検討される方にとって、最も気になるポイントの一つが「鑑定精度」ではないでしょうか。弊社seeDNAで保証する99.9999%の血縁関係に対する肯定確率は、約20,000,000,000,000,000(20,000兆=20京)人を見分けられる鑑定精度を意味しています。この数値は、親とされる結果が1,000,000回得られた場合に、999,999回は正確であるということを示しています。
気の遠くなるほどの確率ではあるものの、99.9999%は100%には至りません。否定の場合は0%を保証しておりますが、肯定の場合は100%の確率の保証ができかねます。しかしこれは、弊社だけではなく全てのDNA鑑定会社にいえることです(1)。
実は、理論上は可能です。しかも、方法は非常に簡単です。地球上全ての男性を対象に鑑定を行えばよいのです。全ての男性のDNAを検査し、対象の子どものDNAと比較すれば、父親である人物を100%の確率で特定することが可能になります。しかし、現実的に地球上の約40億人の男性全員を対象にDNA鑑定を行うことは、物理的にも経済的にも不可能です。




株式会社シードナ(seeDNA遺伝医療研究所)では、親子関係を科学的に証明するDNA型鑑定サービスを提供しています。なかでも特にご依頼が多いのが、「出生前血液DNA型鑑定」と「DNA親子鑑定(父子)」です。いずれも「子供の生物学的な父親は誰か」を高精度に特定する鑑定であり、法的手続きや私的な確認など、さまざまな目的でご利用いただいています。
DNA型鑑定というと「父親の特定」をイメージされる方が多いですが、実際には父子関係以外のさまざまな血縁関係を調べることも可能です。具体的には、以下のような関係性について鑑定を行うことができます。
血縁関係を調べる方法は大きく分けて3つあります。それぞれの手法には特徴や適用できる状況に違いがあるため、鑑定の目的や被験者の組み合わせに応じて最適な方法を選択する必要があります。
1985年は、科学技術とIT技術の両面において歴史的な転換点となった年です。この年、RFLP(Restriction Fragment Length Polymorphism:制限酵素断片長多型)によるDNA型鑑定が初めて公式に発表されました(1)。RFLP法とは、DNAを特定の制限酵素で切断し、その断片の長さの違い(多型)を比較することで個人を識別する手法です。英国レスター大学のアレック・ジェフリーズ博士がこの技術を開発し、法医学や親子鑑定の世界に革命をもたらしました。
同時期、マイクロソフト社もWindows 3.0の基本ソフトで品質問題を抱えていました。しかし両者ともこの危機を見事に乗り越えます。マイクロソフト社は1991年にWindows 3.1を出荷して安定性を大幅に改善しました。一方DNA型鑑定技術の分野では、従来のRFLP法に代わる改良された手法として蛍光STR(Short Tandem Repeat)マーカーとChelex抽出法が導入されました。
現在、seeDNA遺伝医療研究所では最新の分析機器と解析ソフトウェアを用いてDNA解析を行っています。その中でも特に注目すべきは次世代シーケンサー(NGS:Next Generation Sequencer)の活用です。次世代シーケンサーは、わずか30年前には全世界の研究者が参加するヒトゲノム計画(Human Genome Project)において10年以上の歳月を要した全ゲノム解読作業を、わずか1日で完了させてしまう驚異的なシステムです。今日のようなコンピューターテクノロジーが存在しなかった時代には、このような高速・大量解析は想像すらできなかったでしょう。